訪日旅行客数、前年同期比41.2%増
日本政府観光局(JNTO)の発表した今年1月における訪日外国人旅行者数の推計値によると、前年同月比41.2%増の94万4000人と、大幅な増加を見せている。
昨年初めて訪日外国人旅行者数1000万人を越えたが、その記録を上回るには幸先のよいスタートといえよう。
今回の結果を牽引したのは、中国、台湾、香港の中華圏と東南アジアである。
以下、東アジア4カ国からの訪日外国人旅行者数を見てみよう。
中国人旅行客が大幅に回復、黄金周に期待
韓国は微増ながら、中国、台湾、香港の増加率は著しい。
東アジアの4カ国が昨年の訪日外国人旅行客の約65%を占めていることを考えると、中国、台湾、香港の急伸ぶりは大きなアドバンテージになる。
特に昨年減少した中国からの旅行客が戻ってきているのはよい兆しである。
1月末の旧正月時期に訪日した中国人が増えていることが確認できており、この結果から、4月末から5月初めにかけての中国版ゴールデンウィーク黄金周にも昨年以上の中国人旅行者が訪日することが予測できる。
中国人旅行者が戻ってきた理由として、現地からは以下の声が聞こえてきた。
・元高円安の続伸
・福島原発に関する懸念が時とともに薄れてきた
・日中の政治的な軋轢に対して民間レベルでは過敏でなくなってきた
香港の旅行客からは、「なんだかんだいっても、円安な今こそ、日本に行くのが一番お得だからだよ」という声が一番多い。
増加が続く東南アジアからの旅行者
昨年から、東南アジアからの旅行者数の増加が注目されているが、今年に入ってもその傾向は継続している。
以下、東南アジアからの訪日外国人旅行者数を見てみよう。
6カ国全てが前年同期を上回っているが、タイ、シンガポール、マレーシアの伸びが顕著だ。
タイからは、この時期雪の積もる北海道へのツアーが好調であった。
マレーシアからは、旧正月休暇を利用しての中華系の旅行者が増えている。
昨年、タイからの旅行客数は東アジアの4カ国に次いで5位につけている。上位4カ国との差はまだまだ大きいが、今年もタイが5位の座をキープする可能性が高い。
当面の訪日インバウンドを考える時、現状では、東アジアと東南アジアからの旅行客が主力となるということは、データが示している。
英語だけでのおもてなしに注力するのではなく、実際に日本を訪れる旅行者の出身国を意識した対応が求められる。